事業承継促進枠とは?事業承継をきっかけに新事業へ挑戦する中小企業を支援する補助金
事業承継促進枠は、事業承継(代表者交代・M&A)をきっかけに新たな取り組みを行う中小企業を支援する補助金です。補助上限は600万円(補助率2/3)で、設備投資・販路開拓・IT導入など幅広い経費が対象になります。2026年度も公募が継続されており、長野県内でも事業承継を控えた企業にとって有力な資金調達手段です。
事業承継促進枠の概要
まず、事業承継促進枠の基本情報を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 事業承継(代表者交代またはM&A)を行った、または行う予定の中小企業・小規模事業者 |
| 補助上限額 | 600万円(一定要件を満たす場合800万円に引き上げ) |
| 補助率 | 2/3以内 |
| 対象経費 | 設備費・外注費・委託費・広報費・旅費・開発費・店舗等借入費・雑役務費など |
| 事業承継の時期 | 2014年4月1日〜公募締切日(過去の承継も対象) |
| 申請方法 | 電子申請システム(jGrants)による申請 |
ポイントは、過去に行った事業承継も対象になる点です。「数年前に父から代表を引き継いだが、新しい事業展開の資金がない」というケースでも申請できます。
申請要件を詳しく解説
事業承継促進枠に申請するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
要件①:事業承継の実施または計画
代表者の交代(親族内承継・従業員承継)またはM&A(株式譲渡・事業譲渡など)を行った、もしくは公募期間内に行う計画があることが必要です。
承継の証明には、履歴事項全部証明書(代表者変更の記載)や株式譲渡契約書などの書類を提出します。計画段階の場合は、承継計画書の提出が求められます。
要件②:新たな取り組みの実施
事業承継をきっかけに、新商品の開発・新サービスの提供・新市場への進出・生産性向上のための設備導入など、経営革新につながる取り組みを実施することが求められます。
「承継前と同じことを続ける」だけでは対象外です。承継を契機に「何を変えるのか」を事業計画に明確に記載する必要があります。
要件③:認定経営革新等支援機関の確認
事業計画について、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認を受けることが必要です。認定支援機関とは、中小企業支援の知識・経験を持つ機関として国が認定した税理士・会計士・金融機関・コンサルティング会社などです。
リーガルイーストのグループ法人であるKURY株式会社は認定経営革新等支援機関です。事業計画の策定から確認書の発行まで一貫して対応できます。
採択される経営計画の3つのポイント
事業承継促進枠の採択率を高めるためには、経営計画書の質が決定的に重要です。審査で評価されるポイントを3つに絞って解説します。
ポイント①:承継によって「何が変わるのか」を具体的に示す
審査員が最も重視するのは、事業承継と新たな取り組みの因果関係です。「後継者の経験・スキル・人脈を活かして、こういう新事業に取り組む」というストーリーが必要です。
たとえば、「先代は対面営業中心だったが、後継者のデジタルマーケティング経験を活かしてECサイトを立ち上げ、県外への販路を開拓する」といった具体性があると説得力が増します。
ポイント②:数値計画に根拠を持たせる
売上目標・利益率・投資回収期間などの数値には、算出根拠を添えてください。「売上20%アップを見込む」だけでは不十分です。
「既存顧客100社にアンケートを実施し、60%が新サービスの利用意向あり。単価○万円×新規受注見込み○件=売上増加額○万円」というように、根拠となるデータを示しましょう。市場調査データ、業界統計、既存顧客からのヒアリング結果などが有効です。
ポイント③:加点項目を取りこぼさない
事業承継促進枠には、基本審査に加えて加点項目が設定されています。加点を1つでも多く取ることが採択率向上の鍵です。
主な加点項目には以下があります。
- 賃上げ加点:事業計画期間内に給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる計画
- 経営力向上計画の承認:事前に承認を受けていると加点
- デジタル化推進:ITツール導入による業務効率化の取り組み
- パートナーシップ構築宣言:公正な取引慣行の宣言登録
これらは申請前の事前準備が必要なものもあるため、公募開始前から計画的に取得しておくことが重要です。
認定支援機関との連携で採択率を高める
事業承継促進枠の申請では、認定経営革新等支援機関の確認書が必須書類です。しかし、確認書を発行してもらうだけでなく、計画策定の段階から連携することで、申請書の質は大きく変わります。
認定支援機関と連携するメリットは以下のとおりです。
- 事業計画の実現可能性を客観的に検証してもらえる
- 財務データに基づく説得力のある数値計画を策定できる
- 審査基準に対応した計画書の構成についてアドバイスを受けられる
- 採択後の実績報告・事業化状況報告のフォローも受けられる
リーガルイーストでは、グループ内の認定支援機関(KURY株式会社)と連携し、事業計画の策定から申請書類の作成、採択後のフォローアップまで一貫して対応しています。行政書士法人として申請書類の作成品質を担保しつつ、認定支援機関として経営面のアドバイスも提供できる体制です。なお、2026年の行政書士法改正により、補助金申請書類の有償作成は行政書士の独占業務となっています。
申請スケジュールと準備期間の目安
事業承継促進枠は年に複数回の公募があります。申請準備には一定の期間が必要なため、早めに動き出すことが重要です。
| ステップ | 内容 | 所要期間の目安 |
|---|---|---|
| ①事前相談 | 認定支援機関への相談・事業承継の状況整理 | 1〜2週間 |
| ②事業計画策定 | 経営分析・市場調査・数値計画の作成 | 2〜4週間 |
| ③申請書類作成 | 行政書士による申請書類の作成・推敲 | 2〜3週間 |
| ④電子申請 | jGrantsでの申請手続き | 1〜2日 |
| ⑤審査期間 | 申請締切後の審査(事務局による) | 2〜3か月 |
| ⑥採択通知 | 採択・不採択の通知 | 審査終了後 |
事業計画の策定から申請までに最低でも1〜2か月は見ておく必要があります。公募締切に間に合わせるためには、公募開始前から準備を進めておくのが理想です。
長野県の事業承継の現状
長野県は全国的に見ても経営者の高齢化が進んでいる地域です。帝国データバンクの調査によると、長野県内企業の経営者の平均年齢は60歳を超えており、後継者が未定の企業も少なくありません。
特に松本市を含む中信地域では、製造業・小売業・建設業を中心に、事業承継の課題を抱える企業が数多く存在します。後継者がいても「事業を引き継いだ後に何をすればいいか分からない」「設備が老朽化しているが投資資金がない」といった課題を持つケースが多く、事業承継促進枠はこうした課題を解決するための有効な手段です。
事業承継は「やらなければならないこと」ではなく、新しい事業展開のきっかけです。補助金を活用して、承継後の成長戦略を描きましょう。
まとめ:事業承継を「成長の起点」にするために
事業承継促進枠は、事業承継をきっかけに新たな挑戦を行う中小企業にとって、最大600万円の設備投資・販路開拓の資金を得られる有力な補助金です。申請にあたっては、認定支援機関と連携した事業計画の策定と、行政書士による申請書類の作成が採択率を高める鍵になります。
「事業承継を控えているが、何から始めればいいか分からない」「後継者に引き継いだ後の成長戦略を描きたい」という方は、まずはお気軽にご相談ください。
補助金申請のご相談はリーガルイーストへ
2026年行政書士法改正で有償の補助金申請書類作成は行政書士の独占業務に。事業承継・M&A補助金・廃業再チャレンジ枠などの申請を、松本・長野・武蔵小杉・上越の4拠点で経験豊富な行政書士がサポートします。初回のご相談は無料です。