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実家が空き家になる前に|相続前後で取れる5つの選択肢 | 行政書士法人リーガルイースト

実家が空き家になる前に|相続前後で取れる5つの選択肢

Column

実家が空き家になった場合、放置すると固定資産税が最大6倍、管理不全空き家に指定されれば行政代執行のリスクもあります。「売却」「賃貸」「活用」の3つの選択肢を早期に判断し、行動に移すことが損失を最小化する唯一の方法です。本記事では、放置した場合の具体的なリスクと、3つの選択肢それぞれのメリット・デメリット、長野県の空き家事情を解説します。

放置リスク①:固定資産税の住宅用地特例が外れる(最大6倍)

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大1/6に減額されています。しかし、空き家が「特定空き家」または「管理不全空き家」に指定されると、この特例が外れ、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。

2023年の空家等対策の推進に関する特別措置法の改正により、「特定空き家」に至る前段階の「管理不全空き家」も特例解除の対象になりました。つまり、倒壊の危険がなくても、適切に管理されていない空き家は増税の対象になります。

具体的な金額で見ると、たとえば固定資産税評価額1,500万円の土地の場合:

  • 特例適用時:1,500万円 × 1/6 × 1.4% = 約3.5万円/年
  • 特例解除後:1,500万円 × 1.4% = 約21万円/年

年間約17.5万円の負担増です。何年も放置すれば、その分だけ損失が積み上がります。

放置リスク②:管理不全空き家・特定空き家に指定される

空き家を放置し続けると、市区町村から管理不全空き家(2023年法改正で新設)または特定空き家に指定される可能性があります。

区分状態行政措置
管理不全空き家窓の破損、雑草の繁茂、外壁の劣化など管理が不十分指導→勧告(住宅用地特例の解除)
特定空き家倒壊の危険、衛生上有害、景観を損なう、周辺の生活環境に悪影響助言→指導→勧告→命令→行政代執行(解体費用を所有者に請求)

行政代執行で解体された場合、解体費用は所有者に請求されます。自主的に解体するより割高になるケースが大半です。

放置リスク③:管理責任による損害賠償

民法717条は、建物の設置・保存の瑕疵によって他人に損害を与えた場合、所有者が損害賠償責任を負うと定めています。空き家から屋根材が落下して通行人がけがをした、壁が倒壊して隣家を損傷したといった場合、所有者に賠償責任が生じます。

これは無過失責任であり、「知らなかった」「管理する余裕がなかった」は免責事由になりません。遠方に住んでいて物理的に管理が難しい場合でも、法的責任は所有者にあります。

選択肢①:売却する

空き家の処分として最もシンプルな方法です。売却すれば管理責任から解放され、固定資産税の負担もなくなります。

空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります(租税特別措置法35条3項)。主な要件は以下のとおりです。

  • 相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいた家屋であること
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続から譲渡まで空き家の状態であること(賃貸に出していないこと)
  • 相続開始から3年後の年末までに売却すること
  • 売却金額が1億円以下であること
  • 家屋を解体するか、耐震リフォームを行ってから売却すること

この制度の適用には期限があるため、相続が発生したら早めに検討することが重要です。なお、税額の計算・確定申告は税理士の業務領域です。リーガルイーストのグループ法人であるサンソレイユ税理士法人と連携して対応いたします。

選択肢②:賃貸に出す

立地が良く建物の状態が比較的良好な場合は、賃貸に出すことで家賃収入を得られます。ただし、以下の点を考慮する必要があります。

  • リノベーション費用:築年数が古い場合、賃貸に耐えうる状態にするための改修費用がかかる
  • 管理の手間:入居者対応・修繕・退去時の原状回復など継続的な管理が必要
  • 空室リスク:地方では需要が限られ、長期間空室になるリスクがある

リノベーション費用と期待家賃収入の損益分岐点を試算し、投資回収が現実的かどうかを判断してください。一般的に、リノベーション費用の回収に10年以上かかる場合は、売却の方が合理的なケースが多くなります。

選択肢③:自治体の空き家バンク・補助制度を活用する

各自治体が運営する空き家バンクに登録し、移住希望者やリノベーション事業者とマッチングする方法です。

長野県内の多くの自治体が空き家バンクを運営しており、移住促進の文脈で空き家の活用に積極的です。松本市でも空き家バンクを通じた成約実績があります。

また、自治体によっては以下のような補助制度が用意されています。

  • 空き家の解体費用の補助(上限50万〜100万円程度)
  • 空き家のリフォーム費用の補助
  • 空き家の利活用に関する相談窓口

補助制度は自治体ごとに内容が異なり、予算に達し次第終了するものも多いため、早めの確認をおすすめします。

長野県の空き家の現状

長野県の空き家率は約19%(総務省「住宅・土地統計調査」2023年)で、全国平均の約14%を大きく上回っています。これは全国でもワースト10に入る水準です。

空き家が増える主な要因は以下のとおりです。

  • 子世代の県外転出:進学・就職で東京圏に転出し、そのまま帰らないケースが多い
  • 高齢者の施設入所:自宅を空けたまま施設に入所し、空き家化する
  • 別荘の放置:バブル期に建てられたリゾート物件が管理されないまま老朽化

松本市でも空き家問題は深刻化しており、市の空き家対策計画に基づいた取り組みが進められています。相続をきっかけに空き家の所有者になった方は、早めに対応方針を決めることが重要です。

まとめ:「とりあえず放置」が最も高くつく

空き家の放置は、固定資産税の増額・行政代執行・損害賠償という3つのリスクを抱え続けることを意味します。「売却」「賃貸」「活用」のいずれかを早期に判断し、行動に移すことが損失を最小化する唯一の方法です。

「何から始めればいいか分からない」という方は、まず専門家に相談して現状を整理しましょう。遠方にお住まいの方の相続手続きについては、遠方から実家の相続手続きを進める方法も参考にしてください。

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