身近に頼れる親族がいない方は、死後事務委任契約で葬儀の手配・届出・契約の解約を事前に手配しておくべきです。遺言書では対応できない「事務手続き」を生前に準備することで、亡くなった後の混乱を防げます。本記事では、死後事務委任契約で委任できること、必要な人の典型パターン、契約の流れを解説します。
死後事務委任契約で委任できること
| 分類 | 具体的な事務 |
|---|---|
| 届出関係 | 死亡届の提出、年金受給停止届、健康保険・介護保険の届出 |
| 葬儀・埋葬 | 葬儀社の手配、通夜・葬儀の執行、火葬・埋葬・納骨の手配 |
| 住居の整理 | 自宅の明け渡し、遺品の整理・処分、賃貸物件の解約 |
| 契約の解約 | 電気・ガス・水道の解約、携帯電話・インターネットの解約、各種サブスク解約 |
| デジタル関連 | SNSアカウントの削除・追悼設定、メールアカウントの処理 |
| 事務処理 | 入院費・施設費の精算、関係者への連絡、ペットの引き渡し |
遺言書でカバーできない「事務手続き」
遺言書で指定できるのは、財産の分配方法(誰に何を相続させるか)と、遺言執行者の指定です。葬儀の手配、届出、契約の解約、遺品整理といった「事務手続き」は、遺言書の対象外です。
亡くなった後にこれらの手続きを行う人がいなければ、賃貸物件の家賃が発生し続ける、光熱費の請求が届き続ける、遺品が放置されるといった問題が発生します。身近に手続きを頼める親族がいない方は、死後事務委任契約で事前に対応者を決めておく必要があります。
死後事務委任契約が必要な人の典型5パターン
パターン①:おひとりさま(配偶者なし・子なし)
最も典型的なケースです。法定相続人がいない場合、手続きを行う人が誰もいません。遠い親族がいても、疎遠であれば連絡がつかない、対応してもらえないことが大半です。
パターン②:子なし夫婦
配偶者が先に亡くなった場合、残された方はおひとりさまと同じ状況になります。配偶者の存命中に、互いに死後事務委任契約を締結しておくことで備えられます。
パターン③:子どもが遠方に住んでいる
子どもが東京圏など遠方に住んでおり、急な対応(葬儀の手配、自宅の片付けなど)が物理的に難しいケースです。地元の行政書士法人に委任しておけば、迅速に対応できます。
パターン④:事実婚・パートナーシップの方
法律婚をしていないパートナーは法定相続人にならず、死後の手続きを行う法的権限がありません。死後事務委任契約でパートナーに委任することで、法的に有効な対応が可能になります。
パターン⑤:親族間の関係が悪い
法定相続人はいるが、関係が悪く死後の手続きを頼めない場合です。第三者(行政書士法人など)に委任することで、親族に負担をかけずに済みます。
契約の流れ
- ヒアリング:希望する葬儀の形式、連絡すべき人のリスト、ペットの有無、デジタル遺品の状況などを確認
- 契約書の作成:委任する事務の内容を具体的に定めた契約書を作成
- 公正証書化:公証役場で公正証書として作成し、法的安全性を担保
- 預託金の管理:葬儀費用・遺品整理費用などの実費を預託金として預かる(信託口座で管理)
- 定期的な見直し:住所変更・健康状態の変化など、状況が変わった際に内容を更新
長野県のおひとりさま世帯の増加
長野県の単独世帯(一人暮らし世帯)は増加傾向にあり、特に65歳以上の単独世帯が増えています。高齢化が進む松本市・長野市でも、「身近に頼れる人がいない」という相談が増加しています。
おひとりさまの相続準備は、認知症になる前に済ませるべき法的手続きと合わせて進めることで、より万全な備えになります。
まとめ:「誰にも迷惑をかけたくない」を形にする
死後事務委任契約は、「亡くなった後のことは自分で決めておきたい」「誰にも迷惑をかけたくない」という思いを法的に実現する手段です。遺言書と合わせて準備することで、財産の分配と事務手続きの両方をカバーできます。
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