行政書士は「書類作成の専門家」です。遺産分割協議書・遺言書・家族信託契約書は行政書士、不動産登記は司法書士、相続人間の紛争は弁護士、税務申告は税理士が担当します。「誰に相談すればいいか分からない」という方のために、本記事では相続手続きの全体像と、行政書士にできること・できないことを明確に解説します。
相続手続きの全体像
相続が発生してから行う手続きは、大きく以下の流れで進みます。
- 死亡届の提出(7日以内)
- 遺言書の有無の確認(公証役場の検索システム・法務局の保管制度・自宅の捜索)
- 相続人の確定(戸籍収集による法定相続人の特定)
- 相続財産の調査(不動産・預貯金・有価証券・負債の把握)
- 相続放棄の検討(3か月以内。負債が多い場合)
- 遺産分割協議(相続人全員の合意)
- 遺産分割協議書の作成
- 各種名義変更(不動産登記・預貯金解約・株式移管など)
- 相続税の申告・納付(10か月以内。基礎控除を超える場合)
行政書士ができること
行政書士法に基づき、行政書士が相続手続きで対応できる業務は以下のとおりです。
- 戸籍収集・相続人調査:被相続人の出生から死亡までの全戸籍を取得し、法定相続人を確定
- 相続関係説明図の作成:法定相続人の関係を図示した書類
- 相続財産の調査:金融機関への残高証明書請求、不動産の名寄帳取得など
- 遺産分割協議書の作成:法務局・金融機関に受理される書式で作成
- 遺言書の原案作成:公正証書遺言・自筆証書遺言の原案作成、公証役場との調整
- 家族信託契約書の作成:信託スキームの設計から契約書作成まで
- 任意後見契約書の作成
- 死後事務委任契約書の作成
- 贈与契約書の作成:名義預金の防止のための贈与契約書
- 各種届出書類の作成:農地法の届出、自動車の名義変更など
- 金融機関の手続き代行:預貯金の解約・名義変更
行政書士ができないこと
以下の業務は、法律上、行政書士が行うことができません。それぞれ担当の専門家が対応します。
- 不動産の登記:司法書士の独占業務。相続登記・信託登記・抵当権抹消など
- 相続人間の紛争の代理:弁護士の独占業務。遺産分割調停・審判・訴訟の代理
- 相続税の申告:税理士の独占業務。相続税の計算・申告書の作成・税務相談
- 裁判所への申立て:相続放棄の申述、遺言検認の申立てなど
士業の役割分担表
| 手続き | 行政書士 | 司法書士 | 弁護士 | 税理士 |
|---|---|---|---|---|
| 戸籍収集・相続人調査 | ◎ | ○ | ○ | △ |
| 遺産分割協議書の作成 | ◎ | ○ | ○ | × |
| 遺言書の原案作成 | ◎ | ○ | ○ | × |
| 家族信託の設計・契約書作成 | ◎ | ○ | ○ | × |
| 不動産の相続登記 | × | ◎ | △ | × |
| 相続人間の紛争解決 | × | × | ◎ | × |
| 相続税の申告 | × | × | × | ◎ |
| 金融機関の手続き代行 | ◎ | ○ | ○ | △ |
| 農地法の届出 | ◎ | × | × | × |
◎=主な担当 ○=対応可能 △=付随的に対応 ×=法律上対応不可
「誰に相談すればいいか分からない」場合のフローチャート
- 相続人間で揉めている → まず弁護士に相談
- 不動産がある → 書類作成は行政書士、登記は司法書士
- 相続税がかかりそう → 税理士に相談(基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人数)
- 揉めていない・手続きを一括で任せたい → 行政書士に相談が最適
リーガルイーストでは、グループ内のサンソレイユ税理士法人、提携司法書士事務所と連携し、行政書士をまず相談の入口として、必要に応じて適切な専門家にお繋ぎしています。「誰に頼めばいいか分からない」場合は、まずリーガルイーストにご相談ください。
まとめ:行政書士は相続手続きの「司令塔」
相続手続きは複数の専門家が関わる複合的な業務です。行政書士は書類作成の専門家として、戸籍収集・財産調査・協議書作成・各種届出を担当し、必要に応じて登記は司法書士、紛争は弁護士、税務は税理士に連携します。
相続手続きの進め方については、認知症になる前に済ませるべき法的手続きもあわせてご覧ください。
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